指導者

コーチ歴の短い方はまずはMTMでやってみよう!練習メニューの考え方と実践方法!

kumacchi

子供がサッカー始めたタイミングでコーチになった。
サッカー部を引退してコーチになった。

いろんなタイミングで指導者スタートをすると
最初に担当することが多いのが小学生低学年だと思います。

そこで最初の関門…

「低学年の練習メニューってどうすればいいんだろう?」

サッカーをしてきたけど、何から始めていいか分からないから
自分がやってきたメニューをやらせてみる。

けど、
思ったように選手達が動いてくれない
選手達が心から楽しくサッカーできてない気がする
選手達が上手くなってるか自信がない

そんな風に思うことはありませんか?

そんな方にオススメなのはMTM(Match – Training – Match)方式です。

MTMとは

MTMとは、言葉のごとく、①試合→②練習→③試合の流れで1日の練習を行う方法です。

①の試合で見えた課題を、②の練習で取り組み、③の試合で改善できてるか見る、という流れです。

これがなぜオススメなのかをお伝えします。

MTMのオススメのやり方

前述の通り、ウォーミングアップ後に①試合→②練習→③試合、という流れで行います。

練習時間が90分なら、 アップ15分→①試合15分→②練習20分→③試合30分(合間休憩等で計10分)
練習時間が120分なら、アップ15分→①試合20分→②練習35分→③試合40分(合間休憩等で計10分)

という感じです。

①の試合は基本的に観ることに集中します。
制約等は設けず、ある程度自由にプレーさせて、指導者はしっかり観察します。
人数は少ない(3~5人チームくらい)方が個々の関わりが多くなるためオススメです。
慣れるまでは指導者自身がテーマをいくつか持って見ることで練習を組みやすくなります。
(ボールの受ける位置はどうかな?顔が上がってるかな?狙いをもってやってるかな?など)

②では①で見られた課題について練習していきます。
まず選手達に「さっきのゲームを見てコーチはこう思ったんだけど、」と話します。
そうすると、その先の練習を自分事として考えやすくなります。
ここでの練習は1~2つ程度、ここでできてるかどうかは深く問いません。
次のゲームの中でできてるか確認します。
前もって練習メニューをいくつか考えて、その中で一番効果がありそうなものを選ぶとやりやすいです。

③では②でやった内容をチャレンジしてる選手を探して積極的に褒めます。
最初は結構無理やり見つけ出して褒めても大丈夫です。
そうすると子供達はチャレンジするようになり、チャレンジ数が増えると成功する回数も増えてきます。
その結果、「練習したことができるようになった」という手応えを掴むことができます。

仮にできなかったとしても、「また次の練習で取り組もう」で構いません。
小学生のうちは長い目で見ることも大事です。

MTM方式のメリット

試合からスタートできるから子供達のモチベーションが上がる

選手達がやりたいのはやっぱりゲームです。
どんなに凝った練習メニューも、ゲームには敵いません。

ゲームで始まり、ゲームで終わることで選手達のモチベーションは高いまま進めることができます。

指導者が試合の中で課題を見抜く力が身につく

指導者にとって試合の中で課題を見抜く力は非常に大事です。
指導者は試合で出た課題を修正しながら、チームとして成長していかなければなりません。

実際の試合では、ハーフタイムや試合の合間の時間に修正しなければなりません。
その中で「何を最優先に修正すべきか」「すぐに修正できる課題かどうか」の2点を考える必要があります。

普段からMTMを行うことで、課題を見抜く力と修正する力を養うことができ、
あなた自身が指導者として成長することができます。

選手達が練習に取り組む意識が高まる

先週末の試合の課題、と言われても、はっきり覚えてる選手は少なく、多くの選手達は忘れてます。
しかし、直前のゲームの課題だと選手達も覚えていることが多いです。
なので、その練習の取り組む姿勢も良くなります。

そしてすぐにゲームでチャレンジする場があるので、それに向けて高いモチベーションで取り組みます。

直前のゲームで見えた自分達の課題であり、そしてこの後またゲームでチャレンジする機会がある
この2つは指導者が思う以上に選手達のモチベーションアップに繋がります。

1回の練習で成長を実感できる

最初のゲームと最後のゲームの違いを感じることで、成長を感じることができるのも大きなメリットです。

選手達が大きく伸びるのは、成長を実感して自信がついたときです。
「こんなことができるようになった」「コーチにこんなこと褒められた」という記憶は選手の中に残り、
その記憶はその子が大きく伸びるきっかけになります。

選手自身が成長を実感して、そのタイミングで適切に褒められることが、急成長のトリガーになります。

そのトリガーになり得ることが、毎回の練習で起こる。
それが大きな成長につながることだと思います。

選手達の成長を実感しやすい

前述した通り、成長のトリガーが毎回の練習で起こりやすいことはもちろんですが、
ゲームを観察することで選手達の成長を指導者が実感できることもあります。

ゲームを繰り返してたら、選手達が予想以上(予想外)の成長を見せた。
そんな経験は、しっかりと観察してきた指導者なら誰もが感じたことがあると思います。

ゲームをしっかり観察することで、選手達の成長を感じる眼を養うこともできます。

試合で使える技術を身に付けやすい

MTMではゲームの中で出た課題を練習するため、基本的にゲームで使う技術を身に付けることができます。
ゲームとかけ離れたものを練習することがないので、身に付けた技術がゲームに直結するものになります。

また、選手達も練習した技術をゲームでチャレンジするため、実戦の中での経験が多くなります。
その中で、使い方を自分自身で習得でき、使える技術へと発展することができます。

個々の特徴を理解しやすい

ゲームを観察することでの得られるメリットのもう一つが、個々の特徴を理解しやすいことです。

MTMを継続することで、「この選手のここを伸ばしたいな」と思うことも出てきます。
それを積み重ねると、個々の特徴を詳細に理解することができます。

こうやって見つけた特徴というのが後々大事になったりするので、こういう眼も養って欲しいです。

MTMが上手く出来ないときの解決策

そうは言っても、いきなりMTMを行うのは確かに難しいです。

最初は課題を見つけることも難しければ、それを改善する練習メニューも分からないと思います。

そういう方への解決策をここで紹介します。

指導者の先輩と一緒に行う

同じチーム内の指導者の方にお願いして、一緒にやっていくことを一番オススメします。

もちろん見学するのもいいですが、実際に指導者の方と話しながらゲームを見たり練習を行うことで、
練習内容の経緯などを聞いたり、自分の意見に対するフィードバックももらえます。

ただ、同じ人とばかりだと似たような内容ばかりになるので、
可能であればいろんな指導者の方と組むことをおススメします。

また、自分と価値観が違うなと思う指導者とも是非組んでみてください。
いろんな発見があり、勉強になります。

選手に聞いてみる

それってあり?と言われそうですが、意外とありです。

ゲームの合間に呼んで話をしてもいいですし、最初からコーチ役として一緒に見てもいいです。
その選手の成長にも繋がりますし、選手ならではの視点は指導者を超えることも多々あります。

ただ同じ選手ばかりにしたら不満が出ると思うので、個々の性格を考えながら、
ローテーションしたり工夫しながらやることをオススメします。

こういう経験が、選手の試合を見る眼試合中の言葉の質の向上に繋がります。

MMMにしてみる

練習を思い切ってゲームにするのも策です。
例えば全体でゲーム→少人数でゲーム→全体でゲーム、みたいにするのもありです。

少人数のゲームの中に制約を入れたりすれば、それも立派な練習メニューになります。

特に1~2年生ならこれでも十分です。
選手達が楽しめるように工夫しながらやることが第一です。

特定の選手にフォーカスする

特定の選手の強化メニューをチーム全体でやる、という方法です。

チーム全体の課題となると分かりにくいですが、特定の選手なら課題を見つけやすいと思います。
逆に特定の選手の長所にフォーカスすることも面白いです。

課題だと名前を出さずにチーム全体の課題として、
長所だとその選手の名前を出してお手本を見せてもらったりしながらやると自信もつくと思います。
また、その選手の長所をチーム全体で共有できるので、日によってターゲットを決めてもいいです。

できればチーム内であまり目立たない選手をピックアップすると、
チームメイトの見る目が変わったり、自信つけて大きく成長することもあります。

課題をあらかじめ決めておく

これは課題を見極める眼を養う、というメリットと逆行しますが、
コーチを始めて間もない場合は最初から決めておくのも一つの方法です。

最初のゲームの中で、そのような場面があったときに声をかけたりアクションを起こすことで
選手達のその課題に対する意識が高まります。

そうすることで、練習を行う際に自分事として意識して取り組みやすくなります。
それだけでもMTMのメリットとしては十分にあります。

MTMの留意点

MTMでは練習をその場で決めることができ、自由度は高いですが、いくつか留意点があります。

ここでは気を付けておきたい項目を紹介しておきます。

最初のゲームではあまり指示出しをしない

最初のゲームの主な目的は観察です。

ここでは指導者が求めるプレーをやることが目的ではないので、観察することに集中しましょう。
選手達がゲームに集中して指導者の存在を忘れるくらいが丁度いいです。

ただ、あえて指導者がアクションを起こすという技術もありますが、
これはきちんと狙いがある場合のみにした方がいいです。

練習の内容とチームのコンセプトを合わせる

練習内容は自由に決めれますが、
それがチームコンセプトと全く異なる内容だと試合に繋がりにくくなります。

例えばショートパスで崩すというチームコンセプトにも関わらず、
練習内容は常にロングボールからの攻撃ばかりやってるとチーム内でバラバラになってしまいます。

あくまでもチームコンセプトがある場合はそのコンセプトに基づいた練習メニューにしましょう。

(勿論、あえて違うコンセプトの練習を行うこともあります)

練習にあまり時間と力をかけない

練習の時間が鍵になるのは間違いありませんが、そこに注力しすぎるのも問題です。
この時間が長くダラダラしてしまうと、選手達の集中力も一気に下がります。

メニューは分かりやすい内容テンポを大事にすることで、
選手達もスムーズに取り組むことができます。

最初のゲーム中にある程度準備をしたり、話も長々とせずに1~2分程度で終わるようにしましょう。

練習は2つまで、課題は1つに絞る

練習メニューや課題がたくさんあると選手達は迷います。
最初のゲームでたくさん課題が出ても、低学年のうちはその日に行う課題は1つにしましょう。

その1つを絞るというのも指導者のセンスです。
指導者自身の成長と思って取り組んでみてください。

最後のゲームは基本的に褒める

練習をやってゲームをやっても、最初は改善されてないように見えるかもしれません。
そんなことはよくあります。
いきなり全て改善されることは無いと思っても大丈夫です。

そこで「なぜできないんだ」と怒っても、指導者も選手もストレスが溜まるだけです。

そこでいいプレーが出るまでじっくり待ちましょう。
あえて練習した現象が起こりやすいメンバー構成にするのもありです。

いい現象が起こるのを待ち、そこを逃さず褒めることで、
選手達はそういうプレーにチャレンジするようになります。

他の方法

TTM

JFAの講習を受けると、TR1→TR2→ゲームという流れがよく出てきます。

これは習得したい技術をTR1で簡略化してしっかり身に付けて、TR2で少し実戦に近づけて、
最後のゲームではその技術が起こりやすいようデザインしてやることで身に付けるという流れです。

テーマがすでに決まっている場合はこれが一番習得しやすいですが、
子ども、特に低学年の場合は「今日」の連続です。

あと、個人的には小学生、特に低学年のうちは自由なゲームをやるべきだと思います。
なので選手達が自由に表現できるゲームの時間を確保できるMTMをオススメしています。

ゲームDay

これはひたすらゲームをやり続けるものです。
チームによっては、練習をしっかりやる時期とひたすらゲームをやる時期を分けてるところもあります。

これも選手達がモチベーション高くやれますし、これだけでも実際成長すると思います。

ですが、指導者としての成長と考えるとゲームだけでは物足りないと感じます。
その中でどうやって修正したり変化させていくか、そういう場面を作る方が眼を養うことができます。

なのでゲームをひたすらやるにしても、制約を加えたり工夫しながら行うことで、
いろんな現象を指導者の工夫で起こすことができるようになります。

選手がメニューを決める

学年が上がってくると、選手がメニューを決めるのもありだと思います。

ボトムアップ理論が話題になりましたが、選手が主体で動くというのは大きな成長に繋がります。

ただし、これは任せるだけだとただ放任しただけになりますし、
関わりすぎると意味がなくなってしまいます。

これは距離感が非常に難しいため、指導者としての経験が必要です。

1週間の期間限定で任せたり、月1回任せる日を作るなど、限定的に行うのが無難だと思います。
こういう機会があることで、選手達の意見を聞くことができるのは大きなメリットになります。

まとめ

今回は練習メニューの考え方としてMTMを紹介しました。

MTMは試合→練習→試合の順番に行うやり方です。

メリットとしては
①試合からスタートできるから子供達のモチベーションが上がる
②指導者が試合の中で課題を見抜く力が身につく
③選手達が練習に取り組む意識が高まる
④1回の練習で成長を実感できる
⑤選手達の成長を実感しやすい
⑥試合で使える技術を身に付けやすい
⑦個々の特徴を理解しやすい

というものがあります。

他にもいろんなやり方がありますが、指導者を始めたばかりの方は、
是非今回紹介していることを参考にMTMという方法をやってみてください。

あなたの指導者人生がさらに豊かなものになることを願っています。

ABOUT ME
くまっち
くまっち
サッカー小僧育成コーチ
サッカーコーチ歴18年 ジュニア~ジュニアユースのチームコーチ 低学年(1~4年生)を担当し15年 サッカーの楽しみ方を追求中
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